【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫

意地っ張りのくせに泣き虫で、
芯が強くてしっかりしているくせに、
どこか危なっかしい。

自分に向かって、生意気な口を利く癖に、
ふとした視線が必死に自分を追っているのに気づく。
それは、自分の自惚れでなければ、
一種の『好意』のようなものを秘めている……と思う。

本来であれば、ジワリと距離を取って、
相手の思念が熱しすぎないように、
調整してやればいいだけなのに、
どこかその熱に反応して、
応えたくなる様な誘惑を感じてしまう。

ぐしゃりと髪をかきあげて、
暗闇に慣れた視線で、白く流れる紫煙を追う。

細身の線の細い華奢な立ち姿に、
絹のように艶やかなストレートロングの髪が揺れる。
清廉なまっすぐな瞳で自分を見つめる。
照れたような笑みを浮かべる。

風にあおられて舞い散る桜の花の下で、
乱れる髪を抑えながら
自らを見つめる瞳に、我を忘れそうになった。
つい、その艶やかな頬に手を伸ばして、
自らの内にある欲望のまま、触れてしまいそうで、

そんな資格がないくせに、
優しい兄、以上の感情を持ちそうな自分を戒めた。

……自らの胸の中の空白を埋めるように、
理性より本能で、彼女を求めてしまいそうな自分に気づいていた。

慌ててそっと距離を置いて、
それでも、それ以上の距離を置きたくないと、
どこかで思ってしまっている。
我ながら厄介だなと、身の内に沸いた感情に対してそんな風に思う。