【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫

佳代を部屋に戻してから、
俺は改めて相手の男の顔を観察する。

「で、雑誌の記者さんが何の用事?」
そう言って、彼女の家からしばらく歩いて、
近くの公園にその男を誘う。

男はベンチにドカリ、と腰を掛けて、
よれよれになったジャケットのポケットから、
煙草を取り出して、俺に勧める。

「……自分のがある」
そう言って俺は煙草を一本取り出す。
こっちに来てからは、
島の綺麗な空気に合わないような気がして、
ずっと吸ってなかったんだが、
どうにも状況は面倒くさいように転がっていて、
苛々を誤魔化すために、気づけば煙草に手が伸びていた。

「いえね、私、あの事件の後追い取材をしているんです」
そう言って、男は小さく笑う。
「貴方は、あの事件ではヒーローですからね。
あの事件にかかわった人間たちは今、そんな感じで、
記事を書こうと思えば、貴方のことは欠かせない……」
そう言って、深々と煙をすって、
上を向いて、煙を吐き出す。
少しだけ、言葉を止めてから、その男は続ける。

「命がけでかばった彼女と、
上手くやっているかと思っていたんですけどね?
どうやら、こんな離島にいるっていうことで、
思わず、船に乗って直接会いに来ちゃいましたよ……」

そう言って小さく声を上げて笑う。

「……そしたら、別のオンナ連れで店から出てきたもんでね、
面白いなあ……と」

厭らしげな言い方をするから、俺はとっさに、
「アイツはそう言う関係じゃねぇからな……」
そう釘を打たざるを得ない。