『きゃっ!』
鉛のように感じた身体が
嘘のように身体が羽上がる。
『“うわっ”』
私の肩に手を置いたのは郁だった。
声には出せなくても
郁も私の態度に驚いていた。
『ご、ごめん!郁…』
声が出せない郁が私に触れる事なんて
よくある事なのに、それなのに
こんなに驚いていたしまうなんて……。
『“ううん、急にごめんね。”』
驚かせてしまったのに
郁はニコッと優しく微笑んでくれた。
『“熱はもう平気?”』
郁はベッドの端に腰かけると
私の両頬に手を添え
コツンと私のおでこに自分のおでこを当て
熱を計ってくれた。
郁のまつげはとても長くて
透き通るような白い肌。
今にも触れてしまいそうなくらい
近くて遠い距離。
普通の姉弟はこんな事しないのかもしれない。
でも私は普通の姉弟なんて知らなくて
どんなに顔が近くても
何の違和感もなかった。
『“うーん……うん。もう大丈夫そうだね”』
郁はゆっくりおでこを離した。
心配…させたのかもしれない。
郁の目の下にはうっすら
クマのようなものが出来ていた。
せっかく白く綺麗な肌をしているのに。
『ごめんね……』
その白い肌に今度は
私がそっと手を添えた。

