男の細い目が精一杯開き、
暗くなる夕焼けの中のせいか
余計に瞳がキラキラと輝いて見えた。
だから…
ロック…ってなんだっけ……。
初めて言われたその言葉に
私はロックの意味が分からなくなった。
誉められているのか。
貶されているのか。
ただ…
『は…はあ、どうも……』
気づけば気の抜けた返事をしていた。
『あんたこの間の1円の子だよな!?』
『えっ!あ…その……』
男は以前会った事があるのを覚えていた。
まあ、1円を叩きつけたのだ。
そうそう忘れられる事でもないだろう。
『あん時、驚いたわー。
まさかの1円っ!
ありゃ笑いが止まんなかったし!』
『いや、その………』
私だって中々の事をした自覚はある。
それなのに、男の屈託ない笑顔は
怒っていたり
嘘を言っているようには見えなかった。
『あーいや、でも今日の方が驚いたかも。』
『え……?』
朝日のように、まぶしい笑顔。
その笑顔で
『俺、あんたの声めっちゃ好きッッ!』
唐突に告げられた言葉に
やけどしたかのように
激しい熱を身体全身に感じた。

