夕暮れの時間。



道路がほんのりオレンジ色に変わり、1日が終わる寂しさを醸し出していた。


皆が家路を急ぐ中……



誰の顔も見たくない。



私の足は自然と公園に向かって走っていた。

公園から帰る子ども達をすり抜け、向かっていたのは……



公園の裏の林の中。



木々が生い茂り、ポツンと何もないただの広場。

めったに誰も通らない私の秘密の場所。


この間は変な男がいたけれど……



『いない…。』



今日はあの男の姿はなかった。


良かった……。


ゆっくり1人で頭を冷やせるのだから。

私は力が抜けるようにその場に座りこんだ。



どうして私はこうなんだろう。

どうして自分が思っている事すら、ちゃんと言葉に出来ないのだろう。



言いたい事も言えない。

昔から私はそうだ。


言葉にするのを恐れている。



私はもう子どもではないのに、言葉は暴力になる事を知っているから。

だから、自分を守る言葉すら言えなくなっていた。



『っつ……』



言葉を我慢して、我慢して……

胸に詰め込むと……

いつかはキャパがオーバーになる。





♪~♪♪~♪~~~





だからだろう。


自分でも気づかない内に、



大嫌いだった歌を…口ずさんでいた。



全てを吐き出すように……。