“自分を嫌い”と“好きな人の好きな人が嫌い”…は同じ嫌いでも全然違う。
好きな人が好きな人。
それはきっと私でなくても嫌いになるだろう。
嫌われているのは悲しいけれど…
『きっと…大丈夫。』
そう、きっと時間が解決してくれる。
だって私は、その後藤君と何の関わりもない。
後藤君だって多分転校生の珍しさから、気になってると言ったにすぎないだろう。
『のん気ね~。』
『ありがとう、心配してくれて。』
『ッツ!いいのよ!友達が心配するのは当たり前なんだから!』
友達……。
お節介なのが友達だとは知らなかった。
無難に距離を置き、適当に笑っていればいい関係だと思っていた。
私は恋どころか友人の作り方も知らなかった。
『それにほら、私達って名字が似てるじゃない?』
『え?』
『櫻田と飯田。同じ“田”がつく同士!』
逆に言えば“田”しか同じではない。
くだらない理由に私はプッと吹き出した。
『へぇ。櫻田さんも笑うんだぁ。』
『私だって可笑しければ笑うよ。』
『うん!笑ってる顔の方がいい。』
『ッツ!』
無条件で心配されるのも、お節介をやかれるのも…
案外、悪い気はしない。
『でも、気をつけなさいよ。』
『え?』
『女の嫉妬は本当に厄介だから。』
女の嫉妬……?
『………?うん?分かった。気をつける。』
いいや、この時の私は何も分かってはいなかった。
友達も恋も知らなかった私が分かるはずがない。
女性の嫉妬がいかに厄介で…
恐ろしいものかを。

