誰もが言った。
“君のせいではない”
と………。
俺もそう思ってきた、今までずっと。
でも、本当にそうだろうか。
親父が事故を起こした場所は、俺が通学で使う道だった。
逃げ出した俺を追ってきたのだ。
俺が親父から逃げなければ…
あの二人は犠牲にはならなかった。
俺がもっと早く誰かに助けを求めていれば……
事故は防げたかも知れなかった。
それなのに俺は“俺のせいじゃない”と被害者を心配する事などしなかった。
のうのうと母と過ごす時間を満喫していたのだ。
その間も彼女は……
声を失った弟を想い、自分も声を殺して泣いていたというのに。
泣いていた彼女の姿が今でも忘れられない。
俺は本当に最低の男だ。
俺のせいで彼女は涙に暮れているのに……
俺は涙を流す彼女を綺麗だと思ってしまったのだから。
そう……
俺は恋をしてしまったらしい。
俺にとって初めての恋。
そしてそれは同時に初めての失恋でもあった。
彼女を想う事は許されない。
何があっても決して……。
それが俺の罪に対する罰なのだから。