交通事故が起きた現場は、俺が通う小学校近くの交差点だった。

 

親父はきっと俺をおいかけて来ていたのだ。

俺が行きそうな所を。

そしてもう壊れていた親父は運転を制御出来なかった。

車に乗っていい人ではなかったのだから。

そして…悲劇は起きた。



制御出来なくなった大型トラックは体勢を崩しながら歩道に突っこみ、二人の子どもを下敷きにしたのだ。



もちろん警察の人達は俺にその事を話はしなかった。

子どもが知るには可哀想だと思ったのだろう。


母の事もあったから……。


警察の人が家についた頃には母だけが倒れていたらしい。

殴られ蹴られ、腕には注射のあと。

かなり弱っていたが、命に別状はなかったと警察の人は言っていた。

それでも、何日かの入院は必要らしく、俺は児童施設に預けられる事になった。


そしてそこで知ったのだ。  


下敷きになった一人は俺と同じ小学校に通う、一つ下の女の子だと。


名前は……



一ノ瀬凛。



そう聞いたのだ。

同じ小学校に通う施設の子に。

そいつはその女の子と同じクラスで…

そいつは俺の親父がやった事を知っていた。

もうニュースで顔も名前も出ているし、こんな小さな町では噂なんてあっという間だから当然と言えば当然。


正義感からだろうか。

それとも自分もされた事があるのだろうか。


そいつは俺に石を投げつけながら言った。




“犯罪者の息子”



と…………。