「…碧兄のところ、辞めたんだって?拓兄に聞いた。」

「…」

私は緑花の顔見ることが出来ず、俯いて自分の青白くなった両手を見つめる。


「…辞めさせられちゃった…ははっ…」

1ヵ月も経ったし、少しは気持ちの整理が出来ていたかと思っていたけれど、

少し思い出しただけでまだこんなにも涙が溢れてくる。


「…結衣…」

そんな私の傍に寄り、私の肩を抱いて慰めてくれる緑花。

私は堪えきれなくなって、嗚咽交じりに泣いてしまった。




「私っ…私っ…家政婦でいようって、好きな気持ちを隠し続けても、碧斗さんの傍に居ようって、きっ…決めたのにっ…きっと…気持ちがバレちゃったからっ…」


「…理由も教えてもらえなくてっ…まだ傍に居たいって、伝えることも出来なくてっ…」


泣きじゃくる私の背中を摩りながら、遮ることなく緑花は私の気持ちを聞いてくれた。