「ねえねえ！今週の土曜日、駅前に新しく出来たカフェに行かない？」
キンキンとした甲高い声に思わず驚いて起きた。せっかく気持ちよく寝てたのにまるでお構いなしだ。
「ごめんね！その日は塾があって…。本当にごめん！誘ってくれてありがとう！また誘ってよ！」
相手を不快な気持ちにさせないように精一杯の配慮をして断った。面倒事はさけたい。
「うん。わかったー」
やっとのいなくなった。ぶっちゃけ迷惑。柊桃花は窓の外を見つめた。工事中のマンション、植木、アスファルト。いつもと同じでつまらない。新緑学園から見える景色は本当につまらない。寂れている。桃花は大きなあくびをした。眠い。昨日２時すぎに寝たからだろう。なんだか体が重い。別に桃花だって好きで２時すぎまで起きていた訳じゃない。桃花はクラスの学級委員だから、担任から頼まれていた仕事をこなしただけだ。やりたいことだってあった。でも桃花は昔から断れない主義なのだ。だから、学級委員だってやってる。まぁ周りからよく信頼されるからいいのだけど。
長いロングヘアーの髪を軽くまとめて肩にかける。結ぶのは面倒だ。
「はーい席について！」
帰りのＨＲが始まる。学級委員からのところでは、最高に愛想をふりまく。利用できるところは利用しないと。
「きりーつ。きおつけーれーい」
やる気のない号令。帰れるからま、いいけど。やる気のない号令の声の主は同じく学級委員の芝田祐太だ。私はどうもあいつが苦手だ。話が合わない。
教室から生徒が我先にと出て行く。私も鞄からスマホを取り出す。そしていじくりまくる。私は割りとクラスの女子がよってくるタイプだから立場に困ることもない。よく遊びの誘いがくる。さっきもだ。私は家でゆっくりしたい派なのだが。そもそも三次元はめんどくさい。私もなにかとめんどくさいめんどくさい言うめんどくさいやつなのだが。

ここで一つ。これを恋愛と思ってるあなたたちに。これは途中まで恋愛となんも関係ないからそこんとこよろしく。

ってなわけで家に着く。帰るなり部屋着に着替えて、自分の部屋の押し入れに駆け込む。ここから私が誰にも見せない秘密の時間の始まりだ。