それから数日後。私はあの時、屋上突き飛ばしたのは誰か分からなかったし、ピアノが弾けないのは嫌だったけど、雅也先生に大切なことを教えてもらったから突き指した本当のわけを誰にも言わなかったが、目撃者がいたらしく、向こうから謝ってきた。目撃者が、屋上で誰かを突き飛ばした。って先生に言ったから、加害者探しが始まって、犯人が見つかった。私は、別に、突き指したことをもう気にしていないし、そもそも犯人とか、加害者とか、被害者とかそんな呼び方は余り好まないし、きちんと謝ってくれたから、もちろん許した。ここで許さない!とかいってもさらに厄介になりそうだし・・・。彼女は雅也先生のことが好きだから、毎日一緒にいる私に嫉妬したんだそう。私の突き指の理由は勿論雅也先生にも伝わる。その日の音楽室では、
「そんな大切なこと、何で言わないんだ」
なんて、怒られたけど、私は、たかが突き指で騒ぎになるのは嫌だ。と言う思いがあるのでわざわざ言わない。それよりも、突き飛ばされたのが自分でよかったと思う。他の子が被害にあうなら、自分が被害にあう方が何倍もましだと思う。周りの子が辛そうにしてると私も辛くなるから。雅也先生はそんな私を
「優しいんだな。」
と評価してくれた。怒られても、ケガしても、一緒に話してる時間が楽しくて仕方ないから、大概の事はまあいっか。って思える。雅也先生と一緒にいるのは幸せで、話してるのは楽しくて、下校時刻が来てもまだ一緒にいたいって思う。家にいても雅也先生の事を考えるし、早く一緒にピアノが弾きたいって思う。ずっとずっと、気が付けば頭の中が雅也先生でいっぱいになって他のことが考えられなくなる。そうか、これが恋。好きって気持ちなんだ。私は先生のことが好きなんだ。