空はすっかり暗い。雅也先生は私を家に車で送ってくれるそうだ。車内であのピアノの話を聞いた。
「俺はあの旧校舎がまだ使われていた頃からこの学校で教師をしていたんだ。あのころはまだ新米でミスばっかりしていた。でもピアノだけは一人前に弾けて、よくクラスで歌っていた。」
「雅也先生はいつから先生やってたんですか?」
「大学卒業してからだから22歳だ。24のときに新校舎ができたから2年位しか使ってないけどな。」
「あ、ここを右にお願いします。」
「はい。」
「何で雅也先生はピアノを弾く時にあんな優しげな表情をするんですか?普段はクール(?)っていわれてるのに。」
「なんでだろう。自分でもわからないな。でも、あのピアノは弾いていると心が温かくなるんだ。」
「それ、私も感じました。まるで生きているような、呼吸をしているような音がするんです。」
「まるで、じゃなくて本当に生きているぞ。」
「え?」
「藤川さんも感じたでしょ。ピアノの記憶。人みたいに歩いたり話したりはできないけど、心はあるんだ。あのピアノはもう使われていないから、寂しがっている。だから、自分を弾いてくれる人には想い出を語ってくれるんだ。声は聴こえた?」
「はい。とっても楽しそうな笑い声とか、校歌を歌ってる沢山の明るい声とか聴こえました。」
「それも、ピアノが楽しんでいる証拠なんだぞ。あんなに楽しそうな音は久しぶりに聴いた。藤川さんの手は心を温かくできる優しい手だ。大切にしろよ。俺も楽しかった。」
「はい。私も楽しかったです。」
「良かった。また弾きにくるとピアノも喜ぶんじゃないかな。いつでも来てよ。音楽室のカギは基本開いてるから。」
「はい。あ、次の交差点を左に曲がったところが家です。送って下さりありがとうございます。」
私は車を降りると。先生の車を小さくなるまで見送った。まだ、耳にはピアノの音色が残っている。雨はいつの間にか上がっていた。濡れている制服を着ているのに、心が温まっているおかげか、全然冷たく、寒く感じなかった。
「俺はあの旧校舎がまだ使われていた頃からこの学校で教師をしていたんだ。あのころはまだ新米でミスばっかりしていた。でもピアノだけは一人前に弾けて、よくクラスで歌っていた。」
「雅也先生はいつから先生やってたんですか?」
「大学卒業してからだから22歳だ。24のときに新校舎ができたから2年位しか使ってないけどな。」
「あ、ここを右にお願いします。」
「はい。」
「何で雅也先生はピアノを弾く時にあんな優しげな表情をするんですか?普段はクール(?)っていわれてるのに。」
「なんでだろう。自分でもわからないな。でも、あのピアノは弾いていると心が温かくなるんだ。」
「それ、私も感じました。まるで生きているような、呼吸をしているような音がするんです。」
「まるで、じゃなくて本当に生きているぞ。」
「え?」
「藤川さんも感じたでしょ。ピアノの記憶。人みたいに歩いたり話したりはできないけど、心はあるんだ。あのピアノはもう使われていないから、寂しがっている。だから、自分を弾いてくれる人には想い出を語ってくれるんだ。声は聴こえた?」
「はい。とっても楽しそうな笑い声とか、校歌を歌ってる沢山の明るい声とか聴こえました。」
「それも、ピアノが楽しんでいる証拠なんだぞ。あんなに楽しそうな音は久しぶりに聴いた。藤川さんの手は心を温かくできる優しい手だ。大切にしろよ。俺も楽しかった。」
「はい。私も楽しかったです。」
「良かった。また弾きにくるとピアノも喜ぶんじゃないかな。いつでも来てよ。音楽室のカギは基本開いてるから。」
「はい。あ、次の交差点を左に曲がったところが家です。送って下さりありがとうございます。」
私は車を降りると。先生の車を小さくなるまで見送った。まだ、耳にはピアノの音色が残っている。雨はいつの間にか上がっていた。濡れている制服を着ているのに、心が温まっているおかげか、全然冷たく、寒く感じなかった。


