怖くて、進めない。
この一歩を踏み出したら、ばあちゃんが本当に遠くに行ってしまう。
いつだって側にいてくれて、
叱ってくれて、
笑ってくれて、
抱きしめてくれて、
そんなばあちゃんにもう会えないだなんて…。
そんな悲しい一歩を…踏み出せるはずがない。
彼が掴んでいた手首を離す。
あぁ。諦めてくれたんだ…。
そう思ってホッとした。
その刹那––––––
グイッ!
優しく、でも強く、
肩を抱かれるようにして、私は彼と校門を潜った。
ちょ…………
何してくれとんじゃーーーー!?!?
「先に進めたじゃん。」
「なっ…」
文句の一つでも言ってやろうと、彼を見上げてハッとした。
「でしょ?」
彼が、息を呑むほど優しい笑みを私に向けていたからだ。
「……前に……進め…ました…」
さっきまであんなに躊躇していたのに、潜ってしまえば思っていたより何てことなくて…
むしろ–––



