「金はばあちゃんが出すに決まってんだろ!誰がお前になんて出してもらうもんかい!
ばあちゃんの夢の豪華家族旅行は、陽伊代、お前の腕にかかってるってことさ。頼んだぞ?楽しみにしてるからね」
意地悪な顔でニヤリと笑うばあちゃん。
ばあちゃんはさすが私をよく知ってる。
ばあちゃんに頼むと言われたら、私は頑張っちゃう習性があるんだよ。
そういえば、ばあちゃんと旅行になんて行ったことなかった。
一緒に行きたいな。旅行。
ばあちゃん腰痛いってよく言ってるし、温泉とかいいかも。
そうしてヤル気になった私は、見事受験に合格した。
自分で言うのもなんだけど、昔からやれば出来る子なんだよね。
だけど、
私の入学を待たずして、
ばあちゃんは、天国に旅立って行ってしまった。
普段、能天気で大概のことは何とかなると思っていた私だけど、
ばあちゃんの死は、私に初めての挫折を与えた。



