毎日だって好きって言うよ。


だけど…



「先輩は、私のヒーローなんだもん…」



テーブルに項垂れたまま、ウェイトレスさんが運んで来てくれたお冷の結露を指でつっとなぞるりながらそう零せば、しーちゃんが訝しげな表情で私を見た。


「ヒーロー?東阪先輩が?陽伊代の?」


「…ん。今の私は、悠太先輩がいてくれたからここにいるんです。」



「ちょっと何それ。初耳なんだけど」と言って、しーちゃんは興味津々といった顔をする。



それもそのはず。


だって私、誰にも話したことないもん。




悠太先輩と私の、出逢った日のこと––––










私には、小さな頃から一緒に住んでいる祖母がいた。


そりゃあもう、お母さんやお姉ちゃんなんて比べ物にならないくらいの肝っ玉毒舌ばあちゃんで、


三度の飯より私を叱ることが好きっていう、なんとも悪趣味なばあちゃんだ。



私の小さい頃、お母さんは私の生まれる前からやっていたエステティシャンの仕事を両立しながら、私とお姉ちゃんを育ててた。


だけど、エステティシャンというのは、見た目の華やかさとは裏腹に結構多忙な職業で、その上お母さんは店舗の責任者を任されていたこともあってか、夜私達が寝てから帰って来るなんてザラ。