ジャーンという効果音と共に、悠太先輩の顔の前に突き出した、一枚の紙。
悠太先輩は、眉間に皺を寄せてその紙に顔を近づける。
「あ。」
「ふっふっふっ。お気付きでしょうか?
先輩。今日は、中間テストの結果が返って来る日なのです!」
そう。
私が悠太先輩に見せているのは、中間テストの結果の用紙。
全ての教科の点数と総合順位が載っていて、それ一枚で天国にも地獄にも行ける、恐ろしい紙切れだ。
1学期の中間、期末テストの時は、余りの悲惨な結果に某アニメのの◯太くんばりに机の奥深くにしまってやった。
ひょんとした時にお母さんに見付かって、雷を落とされないことを祈るばかりだ。
だけど、今回は違う。
こうして手にしっかりと握り締め、大好きな先輩の前に掲げている。
その理由はただ一つ。
「悠太先輩!見て下さい!なんと今回、全教科70点以上です!!」
「……。」
「しかも、見て下さいコレ!歴史なんて奇跡だと思いません!?78点ですよ!?こんな点数、2度と取れる気がしません!」
浮かれる私とは裏腹に、悠太先輩は用紙から少し目を逸らす。



