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「……はぁ」


俺は、いつもの体育倉庫裏で寝転がって空を仰いでいた。


今日は絵に描いたような冬の快晴で、雲ひとつ見当たらない。


それでいて空気は冷たく乾燥していて、吐いたため息は白く濁ってすぐに消えていった。



地面に付けた背中はもうこんなに冷たいのに、まだピヨちゃんを背負った時の温もりが残ってる。


寒がりなくせに体温高いのな。


柔らかいし、いい匂いがするし、俺の首に回す腕に力が篭ったかと思えば、耳もとで


“……好き……”


って……。



「はぁぁぁ……」


俺はまたひとつ大きなため息をつく。


自分の額を拳で叩きながら。



あんなの…反則だろ。


思い出すだけで心臓が煩い。


勘弁しろよ。


どこぞの童貞野郎じゃあるまいし。


俺みたいなのがドキドキするとか、気持ち悪いだろ。



ていうか、あの子大丈夫だったのか?


保健の先生は、ただの貧血って言ってたけど、倒れた時頭打ってたしな…。