私は、ゆっくりと目を瞑る。
やっぱり浮かんで来るのは、たったひとり。
彼の姿。
「何をしてても、浮かぶのは悠太先輩のことばかり。こんなんで、次に進んでもいいのかな?」
「次?」
「友野に……告白された……」
「あのチビか……。意外にやりよるな」
友野とお姉ちゃんは、何気に面識がある。
友野はしーちゃんと一緒に何度かうちに遊びに来たことがあるから。
その時よくお姉ちゃんに絡まれてた。
というよりも、絶好の獲物にされてた。
イジメの。
「次に進む前にさ、もう一回これでもかってくらい考えてみれば?その先輩のこと」
「え?」
「考えちゃうんでしょ?どうしても。だったら考えないようにするのをやめて、きちんと考えるんだよ」
考えないようにするのを……やめる?
「ばあちゃんが昔言ってたよ。“物事の見え方はひとつでも、見方はひとつじゃない”って。その悠太って先輩が陽伊代に何を言ったか知らないよ?だけど、それを言葉通りに受け取るか、そうしないかは陽伊代次第」
お姉ちゃんは、目を丸くする私にニヤリと笑ってみせる。
「あんたの大好きな悠太先輩は、どういう気持ちであんたにそんなことを言ったんだろうね?」



