「……友野が言ってくれたんだ。全部抱えたままでいいって。いつか、忘れさせてくれるって……」
取り残されるなんて嫌だ。
私は、そんな言葉にすがってでも前に進みたい。
「そっか……」
「うん」
「あたしは、陽伊代が幸せならそれでいいんだ」
「うん。ありがとう」
幸せ……か。
幸せってどんな感じだっけ……。
それすら忘れてしまうくらい。
それを感じていたのは、ずっと前のことのように思えた。
*
ばあちゃんの仏壇から上がる、お線香の煙。
元々ばあちゃんの部屋だったそこは六畳ほどの畳の部屋だ。
私はその場所で、寝転がりながらその煙を眺めていた。
「うっわ!!びっくりした!!あんた電気くらい点けなさいよ!!」
「お姉ちゃんお帰りー。今日は早いね」
この部屋に来た時はまだ日が差していたのに、いつの間にか日が沈んで部屋は薄暗くなっていた。
その中にまさか人間が倒れているんだから、お姉ちゃんが度肝を抜くのも無理はない。
寝転がったまま身体を回転させ、お姉ちゃんの方を見れば、額を足で踏みつけられる。
ドイヒー。



