毎日だって好きって言うよ。

わざとらしく音を立てて、机に教科書を立てる。


それから、落書きだらけの教科書をパラパラと捲る。


歴史の教科書に至っては、我ながら酷いと思う。


歴史上の人物の顔写真や肖像画には、最早見る影もない程の落書きが施されて、テストに出るといけないからと原型の顔を調べるのに一苦労だった。


もう落書きは止めよう、と心底後悔しましたとも。




テスト範囲のページに差しかかり、ページを捲る手を止めれば、



……あれ?



ある違和感に気が付いて、そのページを凝視する。


「……っ!!うあぇ!?」





「先生ー。隣の水島さんがおかしいでーす」


「勝又。ほっとけ。水島はいつもおかしい。

んじゃ、教科書仕舞えー。テスト始めるぞー」



先生の合図と共に、みんな一斉に教科書を仕舞う。


そんな中、私はゆっくりと教科書を閉じて、


最後にその教科書を胸に、ギュッと抱きしめた。





–––ねぇ。友野。


友野は言ったでしょ?


悠太先輩が、私に悪影響を与えてるって。


私が勉強をしないのは、悠太先輩で頭がいっぱいだからだって。