〜♪♪♪


スマホのアラームが鳴ってる。


カーテンの隙間からは柔らかい朝の日差し。


香ってくるのは朝ごはんの香り。


今日は多分、シャケとお味噌汁。



私はアラームを止めて、ゆっくりと重たい身体を持ち上げる。



さぁ。


今まで生きてきた中で、最も憂鬱な1日の始まりだ–––––。






朝の身支度を済ませ、1階のダイニングへ。


そこには、キッチンの中でせかせかと動くお母さんと、ダイニングテーブルでスマホを弄りながらマグカップの中身をすするお姉ちゃん。


「陽伊代!やっと起きてきたの!?新学期早々遅刻しちゃうじゃないの!お姉ちゃんとっくに食べ終わったわよ!」


「んー」


「んーじゃなくて……なにその頭!?あんたちゃんと鏡見た!?キノコみたいになってるわよ!?」


「んー」


お姉ちゃんの隣の椅子に座れば、お姉ちゃんがスマホに向けていた視線を私へと移す。


「おはよ。あんた大丈夫?最近輪をかけて様子がおかしいけど。…てあんた。カーディガン裏表逆」


「んー」


「だめだこりゃ」と顔をしかめて、諦めたようにため息をつくと、お姉ちゃんは席を立ち「行ってきます」と言ってダイニングから出て行った。