友野の腕の中で悠太先輩を想う。


悠太先輩を好きになってから今までで、いっぱいに膨らんだ悠太先輩への想いが、涙となって溢れ出てくる。



「全部……抱えたままでいいから。いつか絶対忘れさせてやるから……だから」


私を抱きしめる友野の腕に力が篭る。




「俺にしとけよ」




友野の腕の中で悠太先輩を想って泣く私。


友野は、そんな私を想って抱きしめてくれる。



この時の私は、

無条件で、こんなにも私を必要としてくれるこの優しい手を振り切って、私を拒絶して去っていく大切な人を追いかけるなんて、出来るはずがなかったんだ。





これで、目の前にある選択肢はたったひとつ。


それなのに、私の頭の中は悠太先輩でいっぱいだった。



この落ちては溶ける雪のように、儚い想いばかりを積もらせて、私の心はきっと一生満たされることはない。


そんな気がした–––––。