観覧車を降りた後、悠太先輩と私は一言も話すことなく最寄りの駅に着いて、そこで別れた。
そこまでは、何となく覚えてる。
だけど、それからのことはまるで覚えていない。
どうやって切符を買ったのか。
どうやって電車に乗ったのか。
どうやって、目的の駅で降りたのか。
何も覚えていない。
何も考えられなくなってしまった。
脳みそが考えることをやめてしまった。
何とか家までは着かなくてはと、ただただぼうっと歩き続ける。
最後の角を曲がれば、すぐに自分の家が見えてくるはず。
そこまで行けば、もう何も我慢することはないんだ……。
最後の角を曲がり、自宅の屋根が見えてくる。
後少し。
そう思って速めたはずの足が、ピタリと止まる。
家の前に人影が見えたからだ。
「……友野?」
その人は、私の声に気が付くと下げていた頭を起こし、白い息を吐きながら
「よぉ」
と言葉を発した。
「何で……友野がここにいるの?」
「何だよ。どのツラ下げて来たってか?」



