世の中のカップル達が、クリスマスに並んででもこれに乗りたいわけが、ようやく分かった気がした。



静まり返った観覧車の中、


そっと悠太先輩の方を覗き見れば、悠太先輩も窓の外を眺めていた。


少し物憂げな表情なのは、気のせいだろうか?


窓ガラスに反射して映る悠太先輩の顔が、何だか切なく見える。


ふと、私が見ているのに気付いた先輩と私の目が合い、先輩が優しくその目を細めた。


「今日は楽しかった?」


「はいっ!!とっても!!今まで生きてきた中で一番素敵な1日になりました!!」


「ふ。本当?それならよかった」



本当に決まってるじゃないですか。


まるで、一生分の幸せを使い切っちゃったんじゃないかってくらい、素敵な1日だった。


悠太先輩が、ずっと隣にいる。


それだけで十分すぎるほど幸せなのに、今日は色んな悠太先輩を見ることが出来た。


私をからかう悠太先輩。

爆睡しちゃった悠太先輩。

いっぱい食べる悠太先輩。

満腹で満足な顔した悠太先輩。

楽しそうに笑う悠太先輩。

優しく笑う悠太先輩。

柔らかい瞳で私を見る悠太先輩。


そのどれもが、私に向けられたもの。


今日のデートは、私にとって一生の宝物だ。