誰かが言ってた。


告白は、一世一代の大勝負だって。




だとしたら私は、



毎日が一世一代の大勝負だ!







「悠太先輩!大好きです!」






秋本番。


金木犀の香りが混ざる風を感じながら、

私は腕組みをし、屋上の硬いコンクリートを仁王立ちで踏みしめていた。



高い空には薄い雲と、心地よい陽気を感じさせてくれる太陽。



うん。最高のシチュエーション!



そんな中、


私、水島 陽伊代【みずしま ひいよ】は、


今日も一世一代の大勝負を挑んでいる。




「ピヨちゃん。

告白するのはいいけど、TPOは考えようね」




高く整った鼻。


クッキリとして少し垂れ目気味の優しげな目元。


清潔感のある白くてスベスベの肌に、左目の目尻の下で、なんとも絶妙な存在感で色気を醸し出している泣き黒子。


ふぉぉぉ…


とため息の出るような、そんな非の打ち所のない容姿を一切歪めることなく、


シャツの肌蹴た女子と今まさに何かを始めようとしている状態のまま、その薄く血色のいい唇に笑顔すら浮かべて、


こちらに目を向けるこのお方……。



東阪 悠太【とうさか ゆうた】先輩。



私が恋い焦がれる、唯一無二の王子様だ。