クリスマス目前。

我が校の一部の女子達の間で嵐のような混乱が生じていた。




「悠太が!?誰とも遊ばない!?」


「そうなの!!前々から付き合い悪くなったなって思ってたんだけど、最近はめっきり!!あの悠太がだよ!?」


「私もこの間クリスマスの夜空いてるかって聞いたら、今年は誰とも遊ぶ気ないって断られた!」


「なんかあれでしょ!?本命が出来たとか噂流れてるよ!!ホラ!あの悠太に付き纏ってた1年!!」


「何それ!?マジ沈める!!みんなの悠太なのにっ!!」







「陽伊代。生きろ」


「しーちゃん……あたしどこに沈められるんだろ……」


沈めるだの埋めるだの、なんとも物騒な話で盛り上がっている女子達に見つからないよう、廊下と階段を隔てる非常ドアの陰に身を隠す私は、もはや憔悴しきっていた。


「それにしたって、瞬く間に広まったわね」


そんな私を尻目にそう言うしーちゃんは、どこか楽しそう。




こういう噂話を聞くのは、今日でかれこれ4回目。


どうやら噂は本当らしい。



最近の悠太先輩が、めっきり女の人と遊ぶことがなくなったという噂は……。