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次の日の朝。
私は下駄箱前の廊下で首を傾げていた。
毎日乗る電車の時刻が決まっているのか、いつもはだいたい私が下駄箱に到着したくらいに悠太先輩が校門から気だるそうに入って来る。
というのがお決まりのパターンなのだが、今日は違う。
ゆっくりと上履きに履き替えていても、その後クラスの子と昨日のテレビの話題で盛り上がっていても、一向に悠太先輩の姿は現れない。
「……遅刻かなぁ?」
でも、最近は悠太先輩が遅刻する事減ってたし……。
というのも、先輩の部屋のエアコンが壊れているらしく、凍える寒さで勝手に目が覚めてしまうんだとか。
寒さに強い悠太先輩が凍えるってどんだけ寒いんだ。
とにかく、もう少しだけ待ってみるか!
と、外気吹きすさぶ下駄箱前の廊下で、体を温めるように小さく足踏みしていれば、
「あれ?ひよこちゃん?」
聞き覚えのある声が、私を呼んだ。
つい最近覚えたこの声は…。
「高梨先輩!」
高梨先輩は小気味良い笑顔を浮かべながら、小走りで私の所までやってくる。
「こんな寒い所でどうしたの?って、悠太しかないか!」



