岸中先輩を擁護するつもりはない。
だけど、
悠太先輩自身がそれでは、岸中先輩のような人が生まれても仕方ないのかもしれない。
だって、彼女達にとってもそういう悠太先輩は都合がいいんだから。
誰かのものになる事もない。
テレビの中のアイドルに疑似恋愛をするのと一緒。
「はじめは、何でそんな事するんだろうと思ってた。そういう女子達を一番嫌っているのは悠太のはずなのにって…。だけど、気付いちゃったんだ。
ある日ね、悠太の遊び相手だった女子が悠太の事を本気で好きになっちゃって、その子に悠太が告白される事があったの。あたしはたまたまその場面に居合わせちゃって。それで、その時の悠太が…」
絢先輩は、言葉にし辛そうに一度それを飲み込むと、意を決したように言葉を紡いだ。
「見た事ないくらい冷たい目をして、
“面倒だから、もう二度と俺の側に寄らないでね”
って…」
…あ。
と思った。
それと同時に指先が冷たくなっていくのを感じる。
私はこの悠太先輩を、知ってる…––––––
“俺は絶対に君を好きにはならない。面倒だから、二度と近寄らないでくれる?”



