制服のシャツの上にはカーディガン。


更にその上からブレザーを羽織る。


更に更に、その上にはダッフルコートを羽織って。


手にはカイロ。


ついでにお腹にも貼るカイロ。



だけど、


それでも、


「寒ぅぅーーーーいぃぃぃ!!」


と感じる、本格的な冬の到来です。



「そう?そんな寒いなら教室戻ればいーのに」


「いや!ここは愛の力で乗り越えてみせます!!」


「そこ挑まなくてよくない?」



ある日の昼下がり、いつもの体育倉庫裏にて。


本に目を落としたまま、普段と何も変わらないクールな対応の先輩。



だけど最近、そんな悠太先輩にとある変化がみられるのです。



「ピヨちゃん。こっちおいで」


本から少し目を上げて、そう言う先輩。



きっ…来たっ!!!



いそいそと先輩に寄って行き、その隣にちょこんと正座する。



–––––––––ゴロン。



はうあっ‼︎‼︎‼︎



「うん。丁度いい枕。」


「〜〜〜っ!!」


「何で女子って寒いって言いながら足出してんの?
これで少しは暖かいんじゃない?」



先輩は、私の膝を枕にして、また本を読み出してしまった。