驚いて見上げれば、なぜかキョトンとした表情の悠太先輩が私の肩を掴んでいた。
「あ…ごめん…。何やってんだろ俺…?」
「?…いえ…??」
前髪をクシャッと掻きあげながら、何だか困惑した様子の悠太先輩。
私も悠太先輩も、頭の上はハテナでいっぱいだ。
一方友野はそんな私達を、表情を変えずにただただ見ていた。
何だろ…。
何だかこの空気……いたたまれないっ‼︎‼︎
「あー…。じゃあね。ピヨちゃん」
片手を上げて、そそくさと立ち去ろうとする先輩。
「ちょ!先輩どこ行くんですか!?次、2年生の徒競走じゃ…」
そろそろ所定の場所に集まらなきゃいけないはずなのに、先輩はそれとは真逆の方向に歩き出す。
呼び止める私を先輩は振り返ると、
(サ・ボ・リ)
顔の前で人差し指を立てながら、口の動きだけでそう言って、
悠太先輩は、人混みの中に消えて行った。
なんだ。
先輩参加しないんだ…。
なんとなくそうだろうとは思ってたけど、ちょっと残念だなぁ。
先輩の走る姿、カッコイイだろうに…。



