みんな考えることは同じなのか、ゴール近くの応援席は混み合っていて、私は辛うじて人と人との少しの隙間に滑り込んだ。
うん。
ここなら何とか見えそうだ。
1人で観るのもなんだし、クラスメイトを探してみる。
誰か一緒に応援しませんかー…
「あ」
だけど、見付かったのはクラスメイトじゃなくて…
「悠太ぁ〜!一緒に写真撮ろうよ〜!」
「東阪せんぱーい!こっち向いて〜!」
悠太先輩とその(遊び)仲間達…。
悠太先輩…。
相変わらずモテモテだぁ。
指定のジャージ着てたってあんなにカッコイイんだもん。
そりゃモテるよね。
首から下がったハチマキがなんともやる気のなさを醸し出してるけど、そこがまた先輩らしいというか…。
悠太先輩は、取り巻く女の子達の要望に嫌な顔せずに答えていく。
「悠太ちゅーして♡ちゅーしてくれたら1位とれそう♡」
!?!?
ちょっとそこのお姉様!!
さすがにそれは…!!
「いいよ」
ちゅ。
とリップ音を響かせて、悠太先輩はその子にキスをした。
キャーッ!と悲鳴にも似た黄色い叫び声を上げる取り巻きの子達。
「……」