「葵、俺と結婚してください」


ポケットから出したケースを開いて指輪を差し出した。


葵は驚いているのか、目を丸くしている。


「・・・葵、ダメ?」


情けないけど、俺から頼んでるみたいだよな。


「朔」


「はい」


「よろしくお願いします」


「いいの?」


「うん」


葵のはにかんだ顔をみて、やっと実感して。


「葵、ありがとう」


思い出の場所で、誓いのキスを何度もした。


指輪を葵の左手の薬指にはめたら、サイズがぴったりだったから葵が驚いてた。


「どうしてサイズがわかったの?」


「葵が寝てるときに、そっとヒモを巻いて測った」


「朔らしいね」


「俺らしいって、なんだよ」


「慎重なようで、大胆なところ」


「それって、ほめてんの?」


「ほめてるよ」


いとおしくていとおしくて、たまらない。


俺の気持ちを精一杯こめて、もう一度キスをした。


めちゃくちゃ寒かったけど、一生忘れない日になった。