いつ、どうやって告白したらいいか。


何度も何度も、考えた。


フラれたら、そのあとの雰囲気に耐えられそうにないから、やっぱり帰り際がいいんじゃないか、とか。


家まで送る途中の公園かな、でも近所の誰かに見られるかも、とか。


ストレートに『好きだ』って告白するのがベストだよな、とか。



次々と打ち上がっていく花火を見ながら、どうしようか考えていた時。


葵が、俺の左手にそっと右手を重ねた。


俺は思わず、ビクッと反応してしまい、葵の顔をのぞきこんだ。


「・・・ごめんね」


手を離そうとした葵の右手を、とっさに握った。




「俺、葵が好きだ」





・・・言っちまった。


タイミングも何も、関係なく。



「俺の彼女になって」



花火の音に負けないように、葵の耳元に近づいて。



今度は葵が、俺の耳元で言った。




「私も、朔のこと、好き」




信じられなかった。


葵も、俺が好きで。


俺も、葵が好きで。


これは、いわゆる『両想い』ってヤツだよな。


葵の右手を、ギュッと握った。



生まれて初めての彼女が、葵でよかった。


今日のことは、一生わすれないだろうな。



想いが通じたあと、なんとなく二人とも照れてしまって、なかなか話せなかったけど。


手をつなぎながら見上げた花火の力で、少しずつ緊張がうすらいでいって。


あの花火がキレイとか、課題を一緒にできるのは合宿のあとだねとか、昨日みたテレビの話とか、とにかくずっとしゃべっていた。


空一面に花火が広がるフィナーレが終わると、まわりは帰り支度を始めた。