冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜

「しゃ、社長?!」


諒の車でみゆちゃんと待ち合わせの駅に向かうと、みゆちゃんは驚きを隠せない様子だった。

諒は海外に行っていることを話していたし、こんなに早く帰国するとは夢にも思わなかっただろうから。


「深月から話は聞いている。やはり購買層が違うと、なかなか難しいな。でも、深月が今日はどうしてもしてみたいことがあると言ってきた。それを俺は見守らせてもらってもいいか?」


「も、もちろんです。深月さん、何か思いついたんですか?やっぱり愛のパワーは違いますね」


諒の車でEMISIAまで向かう途中、諒、みゆちゃんと今日のことについて話した。と言っても特別に何かをするというわけではない。家を出る前に少し、諒と色々出会った頃の思い出を話した。


そこで忘れていたことを思い出しただけ。私はジョルフェムのバックが一番優先だという気持ち。それをお客様に伝えよう。

思い出した。私もあの子達と同じように思っていたことを。


今日の私は、あの日と同じ服。ファストブランドのショップで買い揃えた一枚、千九百円のブラウス。


二千九百円の黄色の花柄のスカート、そして、二千九百円のピンクのリボンがついたパンプス。


今までずっと諒に買ってもらった可愛い洋服で接客をしていた。もちろん、今でも気に入ってるし、正直あの服の方が素敵なのも分かっている。


でも、この服たちに袖を通した瞬間、私はやっと戦闘服に身を包んだ気分になれた。


これであの子達と同じ立場になれるはず。
一歩近づいたよね。