「……あちゃん!おばあちゃん!」
重い瞼を開けると、ベッドの周りを取り囲んだ家族が、揃って私を覗き込んでいた。
「……みんな……」
息と一緒に押し出した声は、さっきまでと違って小さくかすれていた。
「……カ……テン……を……」
ベッド横の窓を見て言った切れ切れの言葉を察した一人が、さっと開いたカーテンから、オレンジ色の光が差す。
かすみはじめている目をこらして見ると、窓から見える建物の屋上に、いつもいたあの子の姿はなかった。
「…………ああ……」
さっきまでの出来事が夢ではなかったことを確認した私が安堵のため息をもらすと、泣きそうな顔で家族が取りすがる。
「おばあちゃん、苦しいの?!」
たくさんのチューブにつながれ、首を横に振る力も残っていない私は、否定の意味を込めて微笑む。



