「透麻さん、癌だったのか?…確かに薬はよく持ち歩いていたけど。」

「あたし、家族なのに気づいてあげれなかった。1人で苦しんで、あたしの前では笑顔を見せて何もないフリ。…バカだな、あたし。」



何で一番近くにいたのに気づいてあげれなかったんだろう。

あたしって正真正銘のバカだ。



「近くにいるからこそ、わからないことだって沢山ある。それに里依は馬鹿じゃない。」

「ううん、あたし大馬鹿者だよ。透麻が背負ってる苦しみに気づいてあげたかった。」



昔から透麻は1人でどうにかしようとして、
結局、こういう結果だよ?



「里依より、透麻さんが大馬鹿者だろ?俺達という大切な仲間がいながらも結局は信用されてなかったんだから。」



そう言いながら悲しそうに皐は笑った。