森川の家はうちのすぐ隣だった。俺の部屋にあるベランダは森川の家のベランダと面している。
「今まで全然気づかなかったな。」
「私も気づかなかった」
「俺、小さいころはアパートに住んでて、中学生の頃に引っ越してきたんだ。」
「私も昔は違うとこに住んでたの。引っ越してきたのは最近かな。」
「そうなんだ!俺ら何か似てるな!」
そう言うと森川の顔がみるみる真っ赤になってく。
「え、あ、俺と似てるなんて言われたら嫌だよな!ごめん!忘れて」
やらかしてしまった。海、来てくれるだろうか・・・。
「じ。じゃあ帰るな!夏休み楽しめよ!海来いよ!!」
俺は逃げるようにすぐ隣にある自分の家に帰る。
—— ガチャ。
玄関のドアを閉める。
「はぁぁぁぁ。何やってんだよ。」
無神経すぎる自分の発言に後悔する。
にしても隣の家に住んでるなんて。偶然会ったりもしなかったなんてすごいな。
俺もここに越してきてもう4年か。時間が過ぎるのが年を取るにつれて早く感じてしまう。
「部屋行こう」



