「ま、居たもんは居たんだし、知られたもんは知られた、だ」
「えっ、いいのそんなんで」
肩をすくめてウィンが言った言葉に、あたしは拍子抜けしてしまった。
ウィンは、その瞳であたしを見据えた。
「…あんた、俺に聞けば何でも答えが返ってくんと思ってんのか」
その瞳があまりに冷たいから、思わずあたしの体は強張った。
「言ったよな?主体は王、あんただぜ。俺に何でも聞いて、俺が何でも答えて、それに従って行動したら、あんたは王なんかじゃねぇよ」
「…ウィン。その言い方は…」
「待って、ライト」
ウィンに向かって行こうとするライトの袖を、あたしは引っ張って止める。
「…ごめんなさい、あたしが間違ってた。補佐がいるからって安心しちゃって、思えばアゲートさんにもずっと頼ってた。それじゃだめなのに」
「…姫様…」
ウィンはため息をついて、窓の外に目をやる。
「別に頼るなとは言ってねぇし。ただ、あんたはあんたの考えで突っ走ればいい。道に迷ったら、頼ればいい。言っちまえば、補佐は方位磁石みてぇなもんだな」
「…方位…磁石?」