名のない足跡


四人目は、三十代ぐらいの男性で、何とも強そうな感じ。


でも話を聞く限りではいい人で、身振り手振りで質問に応対した。



クラウドさんを含めた四人は、言葉は違えど、質問に対する答え、意見はほぼ同じ。


あたしは少し焦っていた。


みんないい人だったのに、一人しか選べないなんて…



とりあえず、次が最後の一人。


「ウィンさん、どうぞ」


最後の一人は、あたしより一つ二つぐらい上の少年。


最初に顔写真を見たときから思ってたけど、すごく目を惹く容貌を持っている。


サラサラな深い紫の髪。左右の耳にかかる部分だけ、薄紫のメッシュが入っている。


加えて、吸い込まれそうな瞳…


一言で言えば、かっこいい。


「よろしくお願いします。初めに、自己PRをどうぞ」


ウィンさんは、あたしをじっと見据えて、しばらく口を開かなかった。


えっ!? 何!?


そんなに見つめられると、困るんですけどっ…


とりあえず負けまい、と目を逸らさずにいると、やっと口を開いてくれた。


「…ウィン。十八。俺のことはいいから、あんたのこと教えて」


「…はい?」


名前と年齢だけのPR、しかも逆にPRを要求され、あたしは聞き返してしまった。