するとユナさんは、ニヤッと笑い、あたしに言った。


「何?ルチルちゃん、そんなに僕のこと知りたいの?」


「…っ、はい!?何でですかっ!!違いますよ!!」


あたしは顔を真っ赤にして、ぶんぶんと首を横に振る。


「あはは、そんな頭ごなしに否定しなくても。冗談だよ」


「うぐっ…ユナさん、もしやこうやって何人もの乙女心をもてあそんでますね!?」


「え、何ソレ。僕、そんな悪人に見える?」


「物事にはいろんな見方があるんですッ!!」


…ついさっき、アニスに教わった。


ユナさんは、フッと優しく目を細め、あたしに背を向ける。


そして、軽く舌を出しながらこっちを振り向いた。


「…残念。僕は一人の女性にしか興味ないよ」


封筒と一緒に片手をヒラヒラと振り、ユナさんは書籍部の方へ足を進めていった。


あたしは、ユナさんの発言に驚き、その場に固まってしまった。


「うそ…ユナさん…好きな人いるんだ」


うわー、今度詳しく聞こう!とか考えてるあたしの頭に、ポン、と別の考えが割り込む。



………あ。





「…っ、アゲートさんっ!!遅れてすいません!!」