「ダメなんて言わせないよ?だって、今ここにいるのは、ルチルちゃんなんだろう?」
ユナ副隊長は優しく笑いかけてくれた。
そっか。ユナ副隊長は今、あたしと接してくれてるんだ。
王じゃなくて、あたしと…
「…はい。ルチルです!じゃあ、あたしも…ユナさんって呼んでもいいですか」
「いいよ。"さん"付け、新鮮だ」
ユナさんが普通に接してくれることが嬉しくて、あたしも笑い返す。
「あっ、用事あるんでしたよね!文書を………文書?」
はた、と気づき眉をひそめるあたしに、ユナさんは不思議そうに首を傾げる。
「そう、文書。何か変?」
「…わざわざ副隊長のユナさんが…。内密な文書なんですね」
「あぁ、そんなこと。別に内密でも何でもないよ?ただの報告書」
ユナさんはポケットから取り出した封筒をヒラヒラと振る。
「ってことは…ひょっとして、デュモル隊長のパシリ、ですか」
「…は?あはは、面白いなぁルチルちゃん!僕だってイヤなときはとことん反発するよ?これは僕が買って出た仕事。まぁ、あることの口実っていうか」
はぁ、と今度はあたしが首を傾げる。


