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「きゃー!!やばいー!!」
奇声に近い悲鳴をあげつつ、廊下を走るあたし。
目標は執務室の扉、ただ一つ。
書庫の本を元の棚に戻す作業は、簡単なものではなく、相当時間がかかった。
約束の休憩時間を、軽く一時間はオーバー。
残り数十冊のところでアニスに任せて、あたしは来た道を戻っている。
曲がり角を曲がったところで、勢いよく誰かとぶつかった。
「ぅわッ、すいません!!」
どちらとも倒れはしなかったものの、謝るあたしの目の前にいたのは…
「って、ぎゃっ!! カーネ司令官!?」
「…ほぅ。貴様が私のことをどう思っているかが丸わかりの反応だな」
よりによってこの人にぶつかってしまうとはッ!!
あたしは必死に謝ろうとしたけど、たちまちカーネ司令官に鼻で笑われる。
「ふん、今度の王は奔放としているものだ。護衛も連れずに城内を駆けずり回っているとは」
「ぐっ…」
返す言葉が見つからず、脳みそと格闘しているあたしを、カーネ司令官は一瞥する。
「…まぁ、先週の戴冠式の貴様の言葉は、認めてやらんでもない」
「………へ?」


