「…大丈夫です。兄はきっと、殺されても死にません。
あたしはこの一年、政治と並行して兄の捜索も考えています。いた方が心強いですから。
そういうわけで、みなさん。一年間、あたしの行動を見守って下さいませんか?
あたしは絶対に国を捨てません。これだけは約束します。
それから、今までの言葉はぜーんぶ、あたし自身の言葉です。
これから一年、立場上は王でも、言葉や行動はルチル=セレナイトのものです。
…では、この国の安泰を祈って。
以上です。ありがとうございました」
なんだか無理矢理締めてしまったかも、と苦笑しつつ一礼をする。
言うだけ言えた!という自己満足に浸りながら、顔を上げたその瞬間。
たくさんの拍手が、あたしに降り注いだ。
「…え…?」
「素晴らしかったですよ、姫様」
呆然とするあたしに、ライトがひっそり言ってくれた。
鳴り止むことのない拍手の中、あたしは満面の笑みでその場にずっと立っていた。
これでまたひとつ、道標が灯った。


