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「まぁっ、お綺麗です姫様!!」


「ありがと、ミカ」


あたしは、あのあと自分の部屋に戻った。


ミカを含む数人のメイドさんたちが、あたしの服や髪型を仕立ててくれた。


ドレスが着崩れないようにと、一時間半ほどずっと立ちっぱなし。


あたしは早く座りたくて仕方がなかった。


あたしがやっと座れるときは、戴冠式の始まりなんだけど…。


「う~…あと30分」


あたしは両手で顔を覆った。


もう、心臓がばくばくしててやばい。


「ルチル様、失礼します。そろそろ大広間の方へ…」


アゲートさんが部屋に入ってきて、あたしに告げた。


「もうほとんどの臣下たちは、大広間で待機しておられますよ」


「ア、アゲートさん、本番中倒れちゃったらどうすれば…」


「俺が支えてさしあげますよ」


アゲートさんの後ろから、ライトがひょっこりと顔を出す。


ミカ以外のメイドさんたちが、小声できゃーきゃー言ってるのが聞こえる。


「あぁ、ライトくん。姫様をお連れする役をお願いするよ。私はまだ準備があるから」


「わかりました。行きましょう、姫様」