名のない足跡


ライトから離れようとした、そのとき。


「あ――――!」


「…何?アズロ」


アズロが急に大声を上げたので、あたしは驚いて聞き返す。


「オレ、庭に忘れ物してきたー!…ってことで、ついてきてウィリー王」


「…おい、何…」


「はい、いーから!じゃ、ちょっと帰るの待っててねー」


ぐいぐいとウィリー王を押し、大広間から姿を消すアズロ。


ぽつんと、あたしとライトだけが取り残された。



…っていうか…


「…っくく…見事に棒読みでしたね」


ライトが、お腹を抱えて笑う。


本当に、アズロってば。


そういう小細工出来る性格じゃないのに…。



でも、せっかくアズロが与えてくれた、二人きりの時間。


これを逃したら、もうないかもしれない。



あたしは意気込んで、ライトに話しかける。


「…ライト!」


「はい?」


………う、だめだ。


しばらく会ってない間に、何だかライトが前よりかっこよくなった気がする。



いつも通り、いつも通り…。


…いつも通りって何だっけ!?