名のない足跡


「…貴女にはお礼を申し上げる。流石、アラゴとハウラの娘だ。突拍子な行動をする」


「え…いやいやそんな、ありがとうございます」


「…褒められてないよ」


アズロに耳打ちされ、あたしが言葉の意味をよく考える前に、ウィリー王は敬礼をとった。


「…勝手ながら、今後ぜひ我が国との国交を頻繁に行って頂きたい。もちろん、襲撃の件の詫びもしたい」


「…是非とも、こちらからもお願いします」


お辞儀をして顔を上げると、ライトと目が合った。


自然と、笑みがこぼれる。


「…やはりあなたは、素晴らしい王です」


「やだなー、そんなことないよ」


二人共、何となく感じ取っていた。


そろそろ、二度目の別れの時間が来る。



あたしは国に帰らなきゃならない。


お互いの立場が立場な為に、次はいつ会えるかわからない。


「…また姫様と呼んで、いいですか」


「…え?」


「今度は俺から会いに行って、いいですか」


笑みを噛み締め、あたしはライトに精一杯抱きつく。


「………うんっ!」


―――大丈夫、また会えるから。