名のない足跡


†††


「ちょっとそっち!もちょっと寄ってよっ」


「んなこと言ったってー狭いよ?案外」


さて、あたしたちは無事ウェルスに着いたのか?



…着きました。


ただ、これまた現れた場所が何というか。



城の敷地内に入ったはいいものの、衛兵がうじゃうじゃ。


慌てて近くの茂みに隠れたはいいけど、狭くって狭くって。



衛兵がそばを通る度に、見つかるんじゃないかってヒヤヒヤ。


こんなんじゃ、ここから動けやしない。


「どうしようアズロー!」


「うっわごめん、オレ案とか思い浮かばないから」


「…ですよねー」


小声で会話しつつも、しっかりと目を見張るあたし。


夜だからって、見張りいすぎ。


カルム城なんか、ここの半分も見張りいないわよ!?



これじゃ、まるで…


「…襲撃を恐れてるみたい」


「襲撃?」


そうかもしれない。


…だとしたら…?


あたしは、今回持ってきた小さなバッグから、紙を取り出し、近くの石を拾ってそれに巻きつける。


アズロがそれを不思議そうに眺めた。