名のない足跡


†††


あたしが決意をし、執務室から出て扉を閉めた時、外は真っ暗になっていた。


まぁ、暗いほうが好都合なんだけど。



見つかったらいろいろ面倒だしね。


こっちでも、向こうでも。



「どこ行くの?」



びくっと肩を震わせたあたしは、まさかと思いつつ、恐る恐る振り返った。


そのまさか。


「……何でいるのアズロ…」


はあぁというため息と共に、頭を抱え込むあたしに、アズロはケラケラと笑う。


「君の考えてること、バレバレだって言ったじゃん?」


「言ってたけどーっ!!」


「ぎゃーぎゃー喚くな鬱陶しい!」


飛んでくる言葉の攻撃を受け、あたしは目を見張る。


な、何で…!?


「何でウィンまでいるの―――!?」


もうわけがわからない。


誰にも見つからないように出るつもりが、よりによってこの二人に…!



あたしの叫びをうるさそうに無視したウィンは、近くの窓辺に寄り、外を見る。


そして、外に向けて大きく手を振り出した。


…誰かいるのかしら。


え。


もしかして捕らえたぞー!みたいな?