†††

ドンドン



「…………」


商連部交易官メノウは、軽くため息をついてから、椅子を立ち、扉を開ける。


目の前で偉そうに仁王立ちをしている旧友を、その瞳が捉えた。


「…全く、そんなに勢い良く扉を叩かなくとも、私には聞こえるのだが?」


「済まぬな!まぁ、大きい音で叩いた方が聞こえが良いだろう」


…そういう問題でもない気が。


そう思いつつも、メノウは敢えて口には出さずに飲み込んだ。


余計なことを口に出せば、口論になること間違いナシ。


長年で培った知恵だ。


「ホレ、何を突っ立っている。私が部屋に入れぬだろうが」


「カーネ…君は何も変わらないな」


メノウが一歩後ろに下がると、伝令部司令官カーネは、その隙間をするりとくぐり、室内へ足を踏み入れた。


「変わらない?貴様も全く変わってないだろう」


「…そんなことはない」


カーネは、ふと昔の彼と今目の前にいる彼を重ね合わせた。