†††


パチパチと、何かがはぜる音が聞こえる。


その音の原因を確かめようと、重いまぶたをゆっくりと開くと、目に入ったのは暖炉。


暖炉の中で、薪木が炎に包まれていた。



部屋には、誰もいなかった。


ベッドの横の小さな台の上に、水の入ったコップが置いてあった。


そっとコップに口を近づけ、コクリと一口飲み込むと、冷たい水がすうっと体中に染み込んだ。



両手でコップを持ち、広がる波紋をじっと眺める。


その奥に、情けない顔をしている自分が映っていた。



「…何、やってんのあたし…」



一人、小さく呟く。


本当に、何やってるんだろう。


あたしが今するべきなのは、ぬくぬくとこのまま布団にくるまって、寝てること?



そんなわけない。


そんなの、逃げだ。



信じたくない現実を突きつけられたとき、その事実から目をそらし、背を向ける。



そんな王は、いらない。